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中国から見た中国と日本の違い

北京五輪 聖火リレー

北京五輪聖火リレー

 北京五輪(8月8日開催)の聖火リレーが、開催国・中国のチベット自治区における人権弾圧のおかげで、行く先々で抗議のデモに見舞われている。抗議活動は3月24日、古代五輪の発祥地、アテネ・オリンピアの採火式から始まった。以後、ロンドン、パリ、サンフランシスコとリレーする先々で発生、ルートの変更を余儀なくされたり、聖火ランナーの辞退も続出した。

 聖火リレーが始まったのは、1936年のベルリン五輪からだ。採火から個別トーチによる継走、聖火台に点火という、五輪開会式のハイライトを考え出したのは、当時、ヒトラー・ナチス党総裁の指示を受けた体育歴史学者のカール・ディーム・ドイツ五輪組織委員会事務局長で、ドイツの国威発揚とナチス党の壮大な宣伝(プロパガンダ)のためだった。とくに、オリンピアからベルリンに至る3075キロを3075人のランナーが、リレーで運ぶというアイデアは、「古代と現代を五輪の火で結ぶ」ことでアーリア人が古代ギリシャ人の直系であることを印象づける狙いだったという。

 ことしの北京五輪聖火リレーは、前回のアテネ五輪同様に世界を走る方式を採用。3月31日に北京をスタート、欧州、南北アメリカ、アフリカ、オーストラリア、ユーラシアの5大陸を経由して8月6日に北京に戻り、8日の開会式に臨むという日程だ。この間、世界の21都市、13万7000キロを合計2万1880人でリレー。中国では、チベット自治区の世界最高峰のチョモランマ(英名エベレスト)登頂を含め31省・自治区・直轄市をつなぐという。日本では4月26日、98年に冬季五輪が行われた長野市で、水泳の北島康介選手ら80人の聖火ランナーが、約18.5キロをリレーする予定だ。

 3月15日、チベット自治区・ラサで起きたチベットの自治権の確立を要求するデモは、中国政府が送った武装警察隊に鎮圧されたが、多数の死傷者を出したことから、あっという間に中国政府に対する抗議デモとして世界に波及した。これに対し中国は、聖火リレー走者を取り囲んで伴走・警備する「聖火防衛隊」を送り込んで抗議デモに対処、事態の沈静化に取り組んでいるが、衰える兆しは見えない。

 国際世論の高まりとともに、欧州のブラウン英、メルケル独の両首相らが相次いで開会式のボイコットを表明したほか、ケニアの環境活動家、ワンガリ・マータイさん(ノーベル平和賞受賞者)ら、著名なリレー走者も次々に不参加を明らかにした。日本でも26日に行われる長野リレーの混乱を懸念する声が出始め、警備対策に頭を痛めたJOC(日本五輪組織委員会)や長野市当局は、15日、記念イベントの中止を決めた。

 ノンフィクション作家の松瀬学氏は、今度の北京五輪聖火リレー騒動について、「聖火リレーの過剰な演出は、じつは五輪の商業主義化の弊害でもある。いまや聖火リレーにも協賛企業がつき、北京五輪は、コカ・コーラ(米国)、レノボ(中国)、サムスン電子(韓国)だ。スポンサー料をたくさん出しているから、聖火リレーを派手にショーアップし、やたら著名人を走りたがらせる。メディアが騒ぎ、世界の注目が集まるから、おのずと抗議側の示威行動のターゲットになるのだ」と指摘している。