北京五輪:開会式
北京五輪開会式 ミサイルで雨雲を撃退
上空到達前に化学反応で人工降雨…専門家の間には懐疑の声も
5カ月余り後に迫った北京五輪の開会式を、快晴の空の下で迎えるための気象コントロールの準備が着々と進められている。北京に近づく雨雲をミサイルで撃退する計画で、五輪のような大規模な国際イベントでは初の試みだ。中国の科学技術を世界にアピールし、国威発揚につなげる狙いもあるが、専門家の間には実現に懐疑的な見方も出ている。
北京五輪が開幕する8月の北京は湿度が高く、平均18センチの雨量があり、五輪の開会、閉会式などの重要な式典が降雨にたたられる心配が大きい。
このため中国政府は開会式式当日などに、北京上空に向かう雨雲を捕捉(ほそく)し北京到達前に雨にしてしまう計画だ。
具体的には、大気中で化学反応を起こして雨雲を発生させる無機化合物の一種、ヨウ化銀を戦闘機搭載の空対空ミサイルや地上の地対空ミサイルに装填(そうてん)し、雨雲に発射する。北京気象局が具体的な実施計画づくりに取り組んでいる。
AP通信などによると、中国では、主に雨の少ない地域に農業用水を供給する目的で人工降雨が盛んに行われている。機材は対空機銃7000丁、対空ミサイル発射装置4100基に上り、約5万人が従事。年間予算は1億ドル(約105億円)という。この分野では世界的にも先進国だ。
ただ、連邦政府と州が同様の試みを進めている米国の専門家らからは「中国の計画が成功するチャンスは高いとは思えない」(国立大気調査センターの天文学者)など疑問の声も出ている。
日本で人工降雨などを研究している気象庁気象研究所の村上正隆・研究部第一研究室長は「中国の計画の実現性については評価が難しい」とした上で「一般的に、人工降雨などの『気象改変』では、ある条件で霧を晴らす効果などが国連機関などによって確かめられているが、都市部の雲から雨を降らせる効果は確認されていない」と話す。
報道によると、北京気象局の技術者も「人工降雨のプロセスは非常に複雑であり、(雨雲にヨウ化銀を打ち込む)最も適切なタイミングと場所を見極めればならない」と認めている。大舞台での壮大な実験は、世界的関心を集めそうだ。