北京五輪:出場枠
北京五輪代表に内定 優勝の伊調千春
決勝はアテネ五輪以来3年間、伊調千春が待ち続けた相手だった。「どうしても倒したい相手がいる。その先に金メダルがある」。打倒イリーナ・メルレニ。

その思いを最も理解していたのが63キロ級の妹、馨だ。大会前にも自分の練習をそっちのけでメルレニ役を買って出てくれた。「身長も体重も違うのに、その気持ちはうれしい」。妹の応援を支えに、宿敵を倒した。
銀メダルに終わったアテネ後も、試練は続いた。一昨年は国内選考で敗れて世界選手権出場を逃し、2カ月間、マットから離れた。今年5月のアジア選手権では計量で失格し、一時は今大会への出場も危ぶまれた。
千春の口からは自然とこんな言葉が出るようになった。「レスリングができるのは、当たり前のことじゃない」。所属する綜合警備保障の大橋監督は千春の変化を感じ取る。「競技への打ち込み方が変わった。ふだんの会話でも、レスリングの技術についてよく話すようになった」
この日、決勝までの5試合は接戦続きだった。地元アゼルバイジャン選手との4回戦は逆転勝ち。まるでここまでの3年間をたどるような厳しい道のりだった。だが、辛抱強く耐え続けた先に北京への切符があった。
「最終目標は妹と2人で北京五輪の金メダル」。アテネで果たせなかった夢の実現に、大きく近づいた。